◆超巨大ショッピングセンター「イオンモール常滑」は激戦のSC戦争を勝ち抜けるか? | 12月1日イオン常滑プレオープン | 競合考察 | いきなりステーキ東海地区初出店 | グランドオープンチラシ◆
我が家のポストにイオンモール常滑からの案内が届きました。「イオンモール常滑 ソフトオープン!」と。むむ? グランドオープンではなくて、ソフトオープン? 案内を読むと、近隣の住民の方への感謝のおもてなしとして、先行オープンの機会を提供するとのこと。地域の住民を大切にする姿勢は素晴らしいと思いますし、敬意を表したいです。でも、ソフトオープンなんて変な言葉を作らずに「プレオープンのご案内」で良いのに不思議なこだわりですね(笑)。さて、マイルドヤンキー理論の中で夢の国と称されるショッピングモールは、地方の住民にとっては、単なる買い物をする場所を超えたエンタテインメント施設であり、もっとも身近な娯楽施設です。地域の雇用も生み、地域住民の期待もひとしお。というわけで、本日はこの度常滑市に建設され、オープンを間近に控えた巨大商業複合施設の今後の繁盛を期待して、店舗紹介とは違う角度から迫ってみたいと思います。あぁー「いきなりステーキ」に早く行きたいな!
※写真出典:イオンモール常滑公式ホームページ
●イオンモール常滑を勝手にご紹介「超巨大ショッピングセンターです!」●
<所在地> 愛知県常滑市りんくう町2丁目20番3
→愛知県企業庁の所有する中部臨空都市空港対岸部の一角
<アクセス> 中部国際空港(セントレア)からシャトルバスで約15分
→中部国際空港のアクセスプラザ1F(空港バスのりば9番)より専用のシャトルバスが発着。もしくは、名鉄りんくう常滑駅より徒歩1分(準急まで停車。特急が止まらないのは名鉄との交渉が失敗したのでしょうか…)。
※友人と話していたら、ショッピングセンターに電車で行く人はいないでしょ?(中高生以外)とのことでしたので、なるほどなるほど。
<敷地面積> 約20万2千㎡
→愛知県はもとより、東海3県における最大規模のショッピングセンター。全国で7番目の規模。
<店舗数> 159店舗(イオンモール)、7店舗(きゅりお)
→いずれもオープン時。スペースとしては180店舗程度入る余裕がある模様。
<施設内容> ロープコース・サーキットコース・スケートリンク・温浴施設(いわゆるスーパー銭湯)などを併設。常滑温泉マーゴの湯は12月下旬にオープン。
●イオン常滑の駐車料金は6時間まで無料!●
イオン常滑の駐車料金は最初の6時間まで無料のようです。イオン常滑⇔セントレア間は週末は比較的頻繁にピストン輸送していますので、イオン常滑に行って、セントレアもついでに遊びに行こう!
なんて使い方も出来そうです。セントレアの駐車料金は高いですので、セントレアでイベントが開催される際には、裏技として使えるかもしれませんが、シャトルバスで15分だから悩ましいところかもしれません。車を止めたらイオン常滑で買い物をしてあげましょう。
●イオンモール常滑 開業までの経緯「やっとオープンです!」●
実は本ショッピングモールは2009年の秋の開業が予定されていたことをご存じでしょうか? 構想から10年弱の月日を経て、やっと2015年12月にオープンするわけです。そう思うと更にありがたくなって行きたくなりますよね? という訳で、イオンモール常滑の開業までの経緯を振り返ってみましょう!
<2008年3月> イオンモール常滑の開業を発表!
イオンモール株式会社より2009年秋の開業を目指して、多機能複合型ショッピングモールを出店するとのプレスリリースが出されました。地元住民の喜びと期待はいかほどのものであったでしょうか。俗にいうリーマン・ショック(個人的にはサブプライムショックの方が適切な形容だと思う)は、2008年9月に端を発してますので、世界景気絶好調時のイオンの強気かつ短期の出店戦略にも、その計画の遂行を疑う者はいなかったことでしょう。
<2009年1月> 建設計画の延期を発表!
中部国際空港の対岸部で建設を計画している大型商業施設「イオンモール常滑(仮称)」の開業時期を2010年以降に延期する方針を明らかにしました。景気後退による消費の低迷を受け着工を遅らせ、テナント構成や施設コンセプトなどの事業計画を見直すということでした。世界金融危機の直後で、撤退も予期される中、延期という判断で済んだのは不幸中の幸いと言えるかもしれません。がしかし、実質の無期限延期のお知らせに、地元は意気消沈したこと間違いなしです。
<2011年8月> 計画変更と2014年春の開業を目指すと発表!
イオンモール社長より2011年8月に常滑市へ今後の方針の説明がありました。当初予定されていた2つの中核店舗を専門店街で結ぶ形式ではなく、レジャーや非日常的な遊びの要素を配した「非日常多角モール型店舗」への計画変更が併せて告げられたとのこと。常滑市は当初定めていた優遇制度の期限を取り下げ、開業を応援するべく姿勢を整えます。
<2014年11月>「イオンモール常滑」起工式を実施し、2015年秋操業が確定!
2014年春の営業を予定していたものの、一向に建設される様子もなく、諦めの雰囲気が漂う中、イオンが起工式を報道発表しました。コンセプトは「海と空を120%楽しむエンターテイメントパーク」とのこと。建設資材や人件費が高騰する中、建設期間1年での完成は難しいのでは?
と思っておりましたが、順調に工事は進み、いよいよ12月1日にプレオープンを迎えるわけです。実に長かった。
●広告にイオン常滑の本気を見た「店舗も巨大ですがチラシも巨大です!」●
下の写真が我が家に入ったイオン常滑の「プレオープン」の案内チラシです。比較のために雑誌を左斜め下に重ねておりますので、このチラシがいかに大きいか分かっていただけるでしょう。新聞より大きいB2サイズです。この広告を含めた冊子を、常滑市、知多市をはじめとする知多半島全域に配布している模様ですので、イオンが本店舗にかける意気込みが伝わってきます!
企業の広報担当やチラシを作成した方であればわかりますが、これだけの広告を打つには相当の手間と費用がかかります。一番安く済むのは新聞折込ですが、冊子化して個別に配布するとは本当に恐れ入ります。10万部~最大30万部ほど配布していると思われますので、プレオープン時にも相当な混雑となりそうです。
●イオン常滑チラシ(※12月1日追加) お得情報は?●
チラシで検索しご覧になっていただいている方が多いにも関わらず、チラシの大きさしか言及しておりませんでしたので、広告を追加しておきます。
↑食料品にめぼしい点は感じられないかもしれません。知多牛を購入するのであれば、近くだと、肉の石川屋 常滑店の方がリーズナブルな印象。足を伸ばすのであれば、大府のげんきの郷は選択肢が多いです。ちなみに、地域のイトーヨーカドーでも取り扱っています。
↑イオン常滑ではヴィトンが購入できるようです! 完全に訪日外国人向けのような気がしますが、私が中国人ならミッドランドスクエアの店舗で買うかも。
↑エアコンが安いです。包丁も良さそう。布団もリーズナブルかな。生活雑貨をオープニングセールで購入するのは狙い目かもしれません。
●「イオン常滑」12月4日オープン!「チラシ」の限定商品が安い!●
パナソニック 液晶テレビ「VIERA TH-50C300(50インチ)」が69,800円!
イオン常滑のグランドオープンチラシがアップされておりましたので、参考掲載いたします。ざっと見たところ、テレビを中心とする限定商品の家電はリーズナブルな価格設定をされていると思います。先着順のため、すぐに売り切れてしまうでしょうが、この価格で毎日販売だとありがたいですのにね。そしたらすぐに買いにいくのに。Amazonプライムを映す媒体として、私の中でTV価値が上昇中です。
※グランドオープンチラシ全体(8ページ)は以下のPDFからご覧になれます。
●イオン常滑 セール情報(2016年2月3日イオンモール常滑チラシ追加)
常滑方面に用事があったため、2016年1月末の平日にイオン常滑に寄りましたところ、いきなりステーキを筆頭に飲食店はどこも混雑しておりました。おぉ、流行っている? と思ったのも束の間、食事を終えて館内を一周したところ、2Fはガラガラと形容する他なく、1Fのショップも客が数人入っている店舗がちらほらあるくらいで、イオン常滑は早くも正念場を迎えているといって差し支えないでしょう。イオンとの最低契約期間がどのようになっているかはわかりませんが、体力のないテナントは半年持たないのではないか? と心配になります。人件費がペイできていない店舗もあるかもしれません。
休日の繁忙はわかりませんが、海外旅行客の訪問も目立つことなく、需要予測とマーケティングと店舗展開といろいろ失敗されてしまったのでしょう。飲食店は混雑していますので、縮小すれば赤字を垂れ流すこともなさそうですが、これだけ大きなショッピングモールでの撤退戦略は相当な困難が予想されます。拡大戦略は夢がありますが、販売縮小は辛いししんどい作業ですからね。現場は地獄です。客観的に見て競争力のないサービスを売ってこいと言われた昔の記憶が蘇り、胸が痛くなります。
本日、イオン常滑のセールチラシがポスティングされておりましたので、微力ながら宣伝させていただきます。オープニングセールに比べると瑣末感は拭えませんが、50インチのシャープ製液晶テレビや、420Lの三菱製冷蔵庫はそこそこお得なように感じます。えっ、マーゴの湯? 岐阜の関であれだけ上手く運営されているのに、どうして常滑では中途半端なことしちゃったんでしょうね。責任問題になっていないと良いのですが。
●激戦の愛知ショッピングセンター「イオン常滑の勝機はインバウンド需要!」●
イオンモール常滑は年間来場者数の目標を1000万人と見込んでいます。知多半島の人口が60万人少々ですので、この来客数の数字はそれほど無茶な数字でもないように見えます。がしかし、ここで一点疑問が生じませんか? そう、イオンはカニバリズムをどう考えているのだろう? ということです。というのも、イオンモールだけで近隣に4店舗も出店しています。イオンモール東浦、イオンモール大高、イオンモール熱田、そしてイオンモール名古屋茶屋。加えて規模は小さいですが、イオン半田店もありますので、イオン同士の客の食い合いになるでしょう。まさにイオンだらけです。
そうすると、いままでイオンを利用していない住民の方々の来客を得なければなりませんが、日常利用の生鮮食品を中心とするお買い物客の取り込みは厳しいのではないでしょうか。というのも、毎日の買い物は、地元のスーパーマーケットで済ませる方がほとんどですので、イオン常滑が大きいから、品数が多いからといって、遠出してまで買い物をする方はそう多くはありません。そのため、ターゲットは必然的に常滑市民、知多市の南の地区の方々がメインとなるでしょう。半田市からもアクセスが良いので、半田市民をどれだけ取り込めるかがイオン常滑のマーケティングの要となるでしょうが、イオン半田店と超バッティングします。
では、休祭日のレジャー利用客での繁盛を見込んでいるのでしょうか? ここでもイオン同士の競争になると思います。上の図をご覧になっていただければ視覚的に把握出来ると思いますが、イオン茶屋、イオン熱田、イオン大高の3店舗も展開していますので、名古屋市民や東海市民がわざわざイオン常滑を選ぶかと言えば、非常に疑問です。つまりはショッピングセンターのオーバーストア状態であることが、イオン常滑の足かせになる可能性が大きい。かといって、リソラ大府の利用客を恒常的に取り込めるか? といえば、厳しいでしょう。
とすると、イオン常滑はどのように顧客を獲得し、売上&利益をあげようとしてるのでしょう?
私のような素人の単純な分析でも過当競争は見えている。それでも勝機があるからこそ投資をして出店をするわけで(引くに引けない事情がある場合も少なくありませんが)、自社や単価の高いコンサルティング会社に依頼して立派な販売戦略を立てているはずです。そのターゲットは間違いなく中国人をはじめとする訪日客でしょう。つまり「インバウンド需要をどれだけ獲得できるかがイオン常滑の成否を握る」といっても過言ではないと考えますが、イオン常滑があるから中部国際空港(セントレア)を利用する客が増えるかといえばそうではなく、外部要因に左右されやすい観光客が、顧客ターゲットの要であるとすれば、結構な博打ではないかと心配しています。
巨大ショッピングセンターは雇用における地域への経済効果は絶大です。新たな勤務先としてイオン常滑で働く方も大勢いらっしゃいます。平日はガラガラ(中国人観光客がちらほら)ということにならぬよう、AEONさんには是非頑張っていただきたいです。当初計画が頓挫した時のショッピングモールの凋落は恐ろしいものがあります.「ピエリ守山」という廃墟モールを見たことがある人間は、SCビジネスの恐ろしさを体験として感じているため、悲観的になっているのかもしれませんが、健闘していただきたい。余計なお世話ですねm(_ _)m
●イオン常滑 おすすめ店舗「いきなりステーキ」塊肉が美味い!●
イオン常滑のテナントを見ていて私が一番心を躍らせたのは「いきなりステーキ」の出店を見つけた時です。まさか東京の立ち食いステーキの人気店をショッピングモールに誘致するとは実に斬新で、イオン常滑店も立ち食いスタイルで行くのか気になるところではあります。私も一度東京の店舗に行ったことがありますが、がっつりお肉を食べたいあなたに、自信をもっておすすめ出来るお店ですので、お腹を空かせて行ってみてはいかがでしょうか?
※イオン常滑のいきなりステーキはどうやら立ち食いの店舗のようです。回転率を上げたいのでしょうが、ファミリー客は入りづらいでしょうし、中国人観光客は立ち食い文化がなく、現地で日本の立ち食いスタイルレストランが苦労しているのは結構有名な話だと思っていましたが、ペッパーフードサービスはどんな戦略を立てているのか気になります。友人が本日行ったけれども、12月1日は空いていたそうです。
●イオン常滑&マーゴの湯の感想(ハコモノ&GMS/SCビジネスの考察)
12月29日にマーゴの湯を目的に行ってきましたので、感想をば。まず、マーゴの湯。ひとことで言うと、サウナは最高、内湯は残念。硫黄風呂という草津温泉を再現したらしいお湯は、人工温泉にしては非常に泉質が良く感じましたが、いかんせん、狭いし一つしかない。なんというか、ハコモノもとい設備産業や装置産業は、やるならやるで、思い切った投資をしないと確実に転ぶことを考えさせられるスーパー銭湯でした。
新しいので綺麗ですが、内風呂は玉の湯やげんきの郷の温泉と同等か、ちょっと劣る規模です。狭いというか、経費を抑えたなぁとしみじみと感じさせるところが辛い。ただ、サウナは立派。本当に立派です。加えて人工温泉を見直すきっかけにもなりました。リラクゼーション設備(マンガ読んだりくつろげる空間)も上々ですので、サウナ+のんびり漫画でも読みたい方にはおすすめですが、風呂目的で行くと期待はずれかもしれません。
※この辺のコンセプトが見えづらい。風呂に投資していただきたかった。
10時~12時までおりましたが、2時間でお客さんは20人~30人程度と空いていましたので、平日にのんびり利用するには素敵な施設です。というわけで、私は通いますが、投資を回収出来るか? という視点で見ると、責任者に心から同情します。硫黄泉は上等なので、外湯の一番大きいお風呂もこのお湯にした方がよろしいかと思います。というか、マーケティングの3C分析の視点が見えてこない…と記そうと思いましたが、設備産業は完成後にマーケティングでリカバリするのは困難であり、切なくなりました。サウナに通って売上に貢献しますね!
せっかくイオン常滑に行ったのに、マーゴの湯だけで帰るのもつまらないので、モール内を一周してきました。えぇ、混雑しています。特にフードコートとレストラン街。いきなりステーキは行列出来ていたのであきらめました。あの感じだと、1時間以上の待ち時間でしょう。感想としては、思いのほかショップに人が入ってないので、テナントの体力が問われそうです。人はいっぱいだけれども、買い物袋を持っている人が少ないし、ショップ内はがらがらなところが少なくない。ショールーミングか食事にいらしたかはわかりませんが、来場者一人あたりの売上はかなり厳しい数字になることでしょう。生鮮食品売り場は在庫(廃棄リスク)が気になるレベル。帰り道に自分が責任者だったら? と打開策を考えましたが、良いアイディアも浮かばず、GMSビジネスやショッピングモールは相当厳しいよね、とありきたりのことを思った次第です。うだうだ記しましたが、私のこの感想と予想が外れて繁盛することを願っています!