◆知多市のごみ袋料金は「45L:50円」「30L:30円」「20L:20円」へ | 愛知県内で一番高いごみ袋価格は妥当性と根拠に欠ける | ごみ手数料の有料化の経緯と問題提起◆
平成28年第3回定例会(9月議会)では、住民の皆さまの生活に関係の深い議題が審議され、可決されましたので報告いたします。
●知多市のごみ袋有料化へ(2017年4月より)●
報告の1つ目は「議案39 知多市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部改正について」です。定期収集のごみ及び直接搬入する家庭系のごみの処分に係る手数料の額を改めるもの、つまり「ごみ袋有料化」です。結論から先に申し上げれば、以下の価格への改定が決まり、2017年(平成29年)9月より施行されます。
・知多市ゴミ袋料金(2017年4月ごみ排出分より)
「45L袋:50円」「30L袋:30円」「20L袋:20円」
●ごみ処理手数料についての私の考え方●
私の意見を申し上げると、知多市がゴミ処理費用で大きな赤字を出しているのは、割高なゴミ処理施設を選択して建設し、運営してきた行政の意思決定のミスであり、ごみ袋料金を愛知県で一番高い価格にすることは、根拠や説得力が薄く妥当ではないと考えます。
一方で、ゴミ処理経費の赤字をこのまま放置することが適切ではないのも事実です。そのため、ごみ袋の有料化自体は、受益者負担の観点や、ごみ処理の課題である「ごみの減量と資源化の推進」に向けての有効な手の一つではあります。
だから、ごみ処理財政の健全化を図るために、ごみ袋の価格の値上げ(適正価格は後程提示)を実施し、住民の理解は得なければならないが「45L袋:50円」という価格設定はおかしいし、この値上げ分がごみ処理経費の赤字補てんに充填されるべきであるにも関わらず、中間マージン等の無駄な経費が多く使われる懸念があり、それを説明しない(明らかにしない)まま、条例を通すことはおかしいと考えます。
つまり、
「(愛知県内で一番高額な)ゴミ袋の料金設定は妥当ではない」
と改めて主張しておきます。 そう、価格設定がおかしいのです。
手数料を徴収する際には、「受益者負担の公平性」の観点と「適切な価格設定」を担保することが必須であるにも関わらず、その精査が欠けている。加えて製造流通をはじめとする経費削減の説明がない。そのため、私は本件において、手数料額の修正を提案(修正動議)するべく調整いたしました。しかし、残念ながら他の議員の賛同を得ることが出来ず、反対が1人では否決することは出来ないため、今回の可決に投じた次第です。税金の無駄遣いをなるべく減らして、より住み良い知多市を実現するために働きたいと議員になりましたが、力及ばずで本当に申し訳ありません。
●私の提案する妥当なゴミ袋料金●
地域行政(自治体)の意思決定過程に議員が関与できない機能不全については、どう対応していくか今後の課題として捉え検証して参りますが、私が妥当であると考えた手数料額は以下の通りです。
本修正案(修正動議)は2名以上の賛同者を得ないと提出要件が満たされないため断念することになりました。ごみ袋価格についてご意見やご要望をいただいておりましたが、良い方向に修正を図ることが出来ず重ねてお詫び申し上げます。今回の反省を今後の活動に活かすためにも、経緯を含めて報告させて下さい。
●知多市ごみ処理手数料有料化(ごみ袋有料化)の経緯●
知多市のごみ処理手数料を有料化することは、私が議員になる前の平成25年3月に策定された「知多市ごみ処理基本計画」及び、その後平成26年7月より開始された「知多市家庭系収集ごみ有料化検討会議」によって議論されておりました(情報公開は適切にされています)。私は有料化自体は先に述べた通り、受益者負担の観点や、事業収支が大幅な赤字であることからも、相応の負担を市民にお願いすることは、仕方がないと考えておりました。
そして、その検討を経て出てきたものが平成28年3月の「知多市家庭系収集ごみ有料化実施計画」です。ここで私は手数料額の妥当性についての議論や審議が実施されるものであると考えておりましたが、そのような機会はなく、条例の改定案が本議会で出てきた次第です。つまりは、検討会議にて有識者と10名の市内在住者の検討を経た決定事項として、今回条例の可決か否決を問われたわけです。中身の議論の機会は私が就任してからはございません(一方的な報告があったのみ)。
物事はYESかNOかの二択ではなくて、どれだけ良い方向に舵を切れるかを議論して、アウトプットを出すことを私は大切にしたいと考えておりますが、遅きに失した感があり責任を痛感しております。これは行政の意思決定のフローに関与できない議員の難しさではありますが、反省を次に活かすべく、総括として私が修正動議の提出理由としてまとめた、疑問を感じている手数料の額についての考察を申し上げます。
① ごみ処理手数料の額の設定根拠が適切ではない
県内他市における手数料導入、運用において、1リットル当たり0.4円~0.7円の手数料を設定している事例が多くあり、一定量無料型以外の導入/運用事例で、愛知県において1リットルあたり1円以上の手数料を設定している市は常滑市のみである。1リットル当たり1.0円未満の手数料にてごみ減量を実現し、ごみ処理収支を改善させた自治体は他にあり、県内で最も手数料を高く設定している自治体を基準に本市の手数料を設定することは、近隣市との均衡の観点と、公共料金の高負担感が住民満足度や、他自治体との競争力を損ねる観点から適切ではないと考える。また、手数料の額の大小とごみ減量の相関関係を立証することは難しく、1リットルあたり1円以上の手数料を設定することの根拠に乏しい。なお、愛知県他市のごみ手数料価格は以下の通り。
② 知多市の割高なごみ処理経費を基準に受益者負担割合を設定することが適切ではない
本市のごみ処理経費は愛知県平均、及び知多半島他市よりも割高な水準である。この割高なごみ処理経費を基準に、受益者負担割合を16%以上の手数料に設定することは、市民の理解を得がたいと考える。
※本議会において実施した一般質問(★知多市の「ごみ処理経費」について(9月議会一般質問)★)参照
③ ごみ袋の製造、流通、販売等、経費の内訳が不明瞭
手数料のうち、製造、流通、販売等の経費がいくらかかり、市の純収入がいくらとなるのか、経費の内訳を明確にして金額を設定することが必要であると考える。また、手数料のうち市の純収入以外の経費を低減する取り組みが重要であると考えるが、これらが明確ではない。例えば、現在45Lのごみ袋(現行の緑の袋)は、10枚が約100円で販売されており、10円/枚の価格設定で流通、販売されているが、新ごみ袋45Lは50円で販売されて、市の収入が40円増になるかというと、それが明確にされていない(40円未満分は中間経費となる)。新ごみ袋を50円/枚で販売する際の経費と、市の収入割合を明確に提示するべきであると考える。
④ ごみ処理手数料収入の使途内訳と割合が不明瞭
手数料収入の使途は、現ごみ処理施設の運営及び管理、修繕等、目的を限定して使途割合を明確にすることが適切であると考えるが、使途内訳と割合の説明が実施されていない。また、本年3月発表の知多市家庭系収集ごみ有料化実施計画では、手数料収入の一部を活用して、ごみと資源に関するアプリケーションを導入すると計画されているが、アプリが必要かの検証も必要。そして、平成35年度完成予定の新しいごみ処理施設は、東海市と共同で建設・運用が計画されており、この新ごみ処理施設の建設等経費は、現在も積立を実施しているが、基金積立等にて充当することが適切ではなかろうか。そのため、本市の設定するごみ手数料に新ごみ処理施設の経費を含めることは妥当ではないと考える。
以上が私の考えるごみ処理手数料についての考察です。なお、手数料の負担は受益者負担の公平性の観点と、事務負担及び費用負担が増えるなどの問題点から、東海市のような一定量無料型は無駄も大きく、今回本市が導入する排出量単純比例型が方向性としては正しいと考えております。
いずれにせよ、私が当該委員会に所属していなかったため実施できなかったこともありますが、手数料価格の妥当性についての審議と検証が不十分であったのかは疑問ですし、もう少し違うやり方でアプローチできなかったのは自身の反省です。今回条例を可決いたしましたので、ごみ手数料が適切に使われるよう厳しくチェックしていくとともに、また、ごみ処理経費の効率化を積極的に提言していきたいと思います。
※2017年2月追記 知多市ごみ有料化の案内について
市役所の表玄関に上記写真のような垂れ幕が掲示されております。市民負担の増をお願いする取り組みで、誇ることでもなければ、めでたいことでもないのに、スタート!と市民感情を逆なでする表現をすることは理解に苦しみます。ごみ有料化へのご協力をお願いします。など、いくらでも表現は考えられますし、旧ごみ袋の交換の方法などの案内も適切に実施されているとは思えず、稚拙な行政運営が目立ちます。新ごみ袋の製造・流通過程の経費のムダも気になる点ですので、チェック&改善要望を実施して別途報告いたします。
●知多市の下水道使用料の改正●
報告の2つ目は「知多市下水道条例の一部改正について」です。下水道使用料の従量課金分について、10%程度値上げが実施されます(※平成29年6月分使用料より適用)(※基本使用料は従来通り)。
知多市の水道事業(上水道)は、平成27年度決算にて、当年度純利益が1億円の黒字であるものの、下水道次号では同決算にて、1.9億円の当年度純損失と赤字でありました。そのため、赤字運営を解消するべく、使用料の値上げを実施する議案です。
私は知多市の上下水道は、その質やサービス、料金など、事業運営は非常に優良であると考えております。継続的な上下水道事業を運営するためには、健全な事業運営が欠かせないため、本改正を可決した次第です。
●今後の取り組みについて●
今回学んだこととして、市政への政策関与は、議員提出の政策提言や条例ではないと具体的なアプローチはしづらいことを痛感しました。また、小池都知事が所信表明演説でもおっしゃられた通り、チェック機能を持つべき議会の意味が問われていると考えます。馴れ合いや根回しで丸く収めるのでなく、市民全体の利益を最大化するため議論をぶつけ合うのが望ましい市議会の姿だと私もかねてより考えております。
そのため、一般質問という機会を活かすだけではなく、新しい取り組みを検討&実施することにより、お金の使い方や使い勝手の悪い公共交通など、切り込んでいきたいと思いますので、ご意見やご要望をお気軽にお寄せください。お話を伺いその妥当性や費用対効果を検証の上、対応させていただきます。