★禁煙法案(受動喫煙対策)について 禁煙と分煙の理想と現実★

禁煙法案

 

◆受動喫煙防止策の強化については「原則禁煙」という一律の規制の導入と「受動喫煙対策」を分けて考えた方が現実的◆

 

煙草が苦手です.親族に煙草をやめて貰うために煙草の害悪を何時間も説明し,禁煙報奨金を出したくらいタバコに否定的です(懐は痛かった(^_^;).煙草は今更説明するまでもなく健康に悪いですし,周りにも迷惑がかかります.だから厚生労働省の →受動喫煙対策の強化について に基本的には肯定的です(日本は喫煙と自転車のルールがクレイジーだね!って近所のマックで外国人の女子高生が言ってましたw).

 

なぜこんな立場を述べているかというと,本日,日本でも有数の嫌煙家であろう永江一石さんより,炎上間違いなしの記事が投稿されていて(→ITマーケティング日記),ちょっと危ない扇動ではないか? と感じたため筆を取った次第です.なお,私は永江氏のブログの更新を毎日楽しみにしていますし,出版された本はほとんど購入している数年来のファンです.そして,匿名ではなくて自身の所属と名前を明らかにした上で,意見を正々堂々と述べるスタンスに敬意を抱いています.だから,彼のブログや意見を否定するわけではなく,彼のような影響力のあるインフルエンサーが,社会正義を説くこと(論理的な文章は流石)に対し,少しだけ綴りたいと思います.

 

 

1.禁煙対策への賛成・否定を限定的な情報から判断できるか

 

今回永江さんは「飲食店の全面禁煙化に反対する国会議員」の名を挙げてディスっていらっしゃいますが,禁煙に賛成or反対がその人のすべてでしょうか? たばこ議連に所属しているから潰せ!という考え方は少し強引であると思います.国防や社会保障,経済対策などへの考え方や政策,これまでの実績や行動力が優れていても,愛煙家だと政治家として駄目だなんて極論ではないでしょうか.

 

これまでの,煙草を吸う人が嫌い(苦手)とか,禁煙推進の記事は価値観やフェアな活動なので,読者も賛成とか反対とか面白おかしく読めば良いと思いますが,個人を吊るし上げるようなネットいじめのような発信をすることはいかがなものかと思うのです.要は禁煙化に反対しているのは,永江氏が挙げた議員がすべてであると言い切れないことと,悪意のある情報は広がる(燃える)のは一瞬でも,火消しするのは困難であるのは,災害時のデマや流言だけでなく,→築地市場の豊洲移転問題 でも明らかだからです.

 

※例えば,対象者が煙草会社から賄賂を貰っていることを糾弾するならジャーナリズムですが,不正をしたわけでもない人間を悪者にすることは,誰もが情報の成否を冷静に判断できるわけではないため危険だと考えます.

 

 

2.地方には喫煙者がいっぱいいます

 

永江氏は「8割近い人たちが健康増進法の飲食店での禁煙化に賛成」との情報を根拠に喫煙空間を絶滅させようとしていらっしゃいますが,この意識調査に回答する対象は,ITやインターネットのリテラシーが最低限ある方々であり,禁煙推進派がほとんどであると思います.「平成26年全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の平均喫煙率は30.3%あります.つまり,3割の人は煙草を吸うのであり,40歳代の男性は38.5%の人が吸う.これをマイノリティと決めつけるのは無理があるのではないでしょうか?

 

ちなみに,私の近所の飲食店では半分以上の人が喫煙者です.男の甲斐性は飲む,吸う,打つという昭和時代の台詞もありますが,お酒を嗜む層と煙草を吸う層は重なっており,地方の飲食店では禁煙の店には行かないという方々も結構なボリュームで存在しています.ちなみに名古屋でも路上禁煙地区で平気で吸ったり,歩き煙草をする人も少なからずいますので,一部地域や田舎の限定的な話ではないと考えます.

 

 

3.個人が経営する飲食店に分煙投資の余力はない

 

地域で頑張っている個人経営の飲食店の経営はギリギリであることが少なくありません.地方の飲食店に分煙を強制したり,厳しい罰則を与えることで誰が得するというのでしょう? 以下NHK記事(→揺れる? 受動喫煙対策)の引用です.

 

外食産業の業界団体「日本フードサービス協会」など5つの団体は連携し、都内で反対集会を開催。多店舗を展開する外食チェーンの運営会社の代表や居酒屋やレストランの経営者ら約450人が集まりました。
参加者に取材してみると、悲痛な叫びを上げたのが、スナックや喫茶店など小規模な店舗の経営者たちです。「たばこを吸うお客さんが多く、禁煙になったら、そもそも客が来なくなる」とか「分煙室を作るといっても狭い店内でそんなスペースもお金をかける余裕もない」といった意見のほか、「海外では路上でたばこを吸えることが多いと思うが、日本では条例で街なかでたばこが吸えないことが多い」といった声も聞かれました。
このため、業界団体では飲食店の建物内では原則、禁煙とする案を見直すよう政府に要望していくことを決めたのです。

 

だから,一律の禁煙規制を実施するのではなく,喫煙・禁煙・分煙は店の判断に任せ,店の入り口で判別できるようにステッカー等を貼って、お客さんに店を選んでもらうようにすれば良いという考え方で良いのではないでしょうか? 永江氏がおっしゃる通り,禁煙であることを前面に押し出すことで客数増や売上アップに繋がる店舗もあるでしょうし,その逆もまたしかりと言うことです.問題なのは,喫煙なのか禁煙なのかわからない店舗であり,受動喫煙のリスクがわからないことではないでしょうか?

 

 

4.そもそも規制や許認可に否定的です(超個人的意見)

 

私は根っからのリバタリアンで「権力は腐敗する,絶対権力は絶対に腐敗する」と考えていますので,喫煙の自由を厚生労働省(国)の裁量や権益で規制することにどうも否定的です.全国の個人経営の店舗の煙草を取り締まりするために税金(ヒト・モノ・カネ)が投入されるなんて考えるとウンザリします.

 

もっと言えば,単一争点化することに危機感を持っており,原発に賛成か反対かを争点にした新潟知事選挙や,沖縄の基地移転の問題など,例えのレベルは違いますが,決定権限を持たない論点の白黒を問うことは,民主主義の負の側面を際立たせるだけだと思います.民主主義は不完全で,二者択一の選択で問題が解決出来るはずなんてないのに,ポピュリズムで安易に民意をマッチポンプすることは,出来る限り避けるべきではないでしょうか?

 

とはいえ,歩き煙草の危険性や,受動喫煙の害悪はまったくもってご指摘の通りですので,公共施設や医療機関(駅などの準公共施設も含めて)の建物内禁煙or敷地内禁煙は徹底する.そして,罰則を強化して,禁止場所で煙草を吸う人間を減らす取り組みに舵を切る.個人や法人の所有する施設や場所は,喫煙か禁煙かの表示を推奨(義務化)し,受動喫煙のリスクを明確にして,後は消費者の選択の自由に任せれば良いと思います.

 

ごちゃごちゃと記しましたが,禁煙を推進する活動には賛成であり,行動力(言動力)には畏敬の念を覚えます.でも,これまでの嫌煙記事とは違って「正義の味方」みたいでらしくないなぁと思った次第です.ビジネスライクにいきましょう! 議論をふっかけるつもりはありませんし,関係のないところから意見して恐縮ですm(_ _)m

 

一番可哀想なのは,選択肢や受動喫煙に抵抗する力を持たない子ども.教育は本当に重要で胸が痛いです.喫煙をすることのデメリットや迷惑の大きさを喫煙者の皆さまは今一度考えていただければなぁと思います.余計なお世話ですが(^_^;).