長野県新型コロナウイルスワクチン接種アドバイザーチームの資料が素晴らしかったので転載紹介いたします。
一方で産経新聞が「ワクチン新システムに不具合頻発 データ入力、自治体に負担」と報じました。
新型コロナウイルスワクチン接種は3つのシステムで運用するようです。
「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理システム(HER-SYS)」
「ワクチン接種円滑化システム(V-SYS)」
「ワクチン接種記録システム(VRS)
仕様やワクチン接種円滑化システムのマニュアル(100ページ超)を見るとめまいがします。
「V-SYS」は理解に苦しむ仕様になっており、運用するのは相当に労力がかかるだろうと推察されます。ク○システムを作ってしまうと現場でその○ソシステムに合わせた運用をせざるをえなくなり、現場が疲弊します。
日本がIT途上国(IT最底辺国)であることは以前から指摘されているので驚きはありませんが、使い勝手の悪い複雑なシステムを新型コロナウィルスワクチン接種のシステムでも導入しているのを見ると不安になります。
日本には国民識別番号、いわゆるマイナンバーが運用されていないことが問題になりますが、ワクチン接種にマイナンバーが必須であるかと言えばそうではありません。少し整理してみましょう(以下素人の個人的見解です)。
必要な情報は
①接種券情報:自治体発行のワクチン接種券
②ワクチン種別情報:どの企業(ファイザー/モデルナ等)のどの製造番号のワクチンか?
③被接種者情報:誰に接種するか?(接種したのか)≒被接種国民情報
④医療機関情報(予約番号):いつ、どの医療機関で接種する(接種した)のか?
この4つです。
①接種券情報:自治体発行のワクチン接種券。新型コロナウィルスワクチン接種は各自治体が実施することになっておりますので、ワクチンの供給量が確認出来次第、順番に市町村コード+7桁番号の計12桁をQRコードなりバーコードで発行すれば良いでしょう。
②ワクチン種別情報は、例えばファイザー株式会社であれば「新型コロナワクチン - 検定合格情報」として情報公開もされていますが、
・医薬品の名称:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2)
・製造番号:EP2163
と製造番号情報があります。もっと細かい情報があるのでしょうが、ワクチンのロットや小瓶に番号が付与されているはずです。
③被接種者情報:誰に接種するか?(接種したのか)≒被接種国民情報は、マイナンバーや、健康保険番号(保険者番号)のどちらかで管理すれば合理的でしょう。健康保険証を持たない人の運用は別で考えねばなりませんが、健康保険の全体の加入率は95%以上ですので、国民の95%以上は健康保険番号(保険者番号)で管理できます。
④医療機関情報(予約番号):医療機関が接種可能分の空情報を提供する(ホテル予約サイトのようにホスト側が空き情報を入力する)システムとします。ここからはUI/UXの話になりますが、例えば接種場所「A大学病院を選ぶと「AD10001(アルファベット2桁、数字5桁)」が出力され、接種時間「05月30日13時00分」を選び、接種券情報(12桁)、氏名、生年月日、他に必要な情報があれば入力して予約番号「例:AD10001-0123456」を払い出すようにします。予約番号は入力情報から変換された情報(アウトプット)です。
素人意見になりますが、①・②・③・④はパラレルでマッチング処理(突合/照合)を実施する仕様とします。これを実際の運用を想定せずに、全部を1つのシステムに統合しようとするから、使い勝手の悪い糞システムが出来上がってしまったのだと考えます。※技術力があれば別ですが日本にそんなものはないでしょう。
具体的な運用を想定してみましょう。
「①接種券情報」
例えば「愛知県名古屋市中区」の住民に摂取する場合、市町村コードは「23106」ですので、2021年5月○日に1000人分ワクチンが供給される予定であるとするならば、 名古屋市中区役所が23106-0000001から23106-0001000番の番号を出力してQRコードやバーコードに印刷します。接種順序は政治判断になりますが、ハガキに印刷して郵送する。圧着はがきにすれば情報保護ができます。
国民は「①接種券」が届き次第、ワクチン接種予約サイトにアクセスします。予約はインターネット一択です。インターネットを使えない方はコールセンターに電話してコールセンターの担当者がワクチン接種予約サイトで予約をします。インプットは「予約サイト」に集約します。「①接種券情報」例:23106-0000001を入力して、接種場所、接種日時を選択肢、氏名、生年月日、他に必要な情報を入力します。入力後「④医療機関情報(予約番号)」例:AD10001-0123456がシステムに登録されるようにします。
ワクチン接種をする際は、医療機関で保険証を提示すると、
「④医療機関情報(予約番号)」例:AD10001-0123456
が表示さます(被接種者は予約番号を提示する必要はない)。
次に「①接種券情報」例:23106-0000001
をQRコードリーダーで読み取り、接種者(受付)は
「②ワクチン種別情報」を入力(選択)例:EP2163-XXXXX
してワクチンを打ちます。
それぞれの情報はパラレルで独立しており、個人情報がどうこうの問題もありません。「④医療機関情報(予約番号)」の詳細情報を参照しなければ、個人情報はわかりませんので、問診等の情報を入力させても漏れることはありません。ワクチン接種証明書の発行にも応用できます。
ワクチン接種は、国民1億人超に2回接種するという大規模プロジェクトではあるものの、単純化すれば、クライアント端末と認証サーバとデータベースをどう連携させるかだけの問題であり、アナログ(ハガキと郵送)とQRコードさえ上手く利活用できれば、それほどシステムを複雑にする必要はないと考えます。
使い勝手やセキュリティに関しては、世の中の予約システムの最上位は、全日空(ANA)や日本航空(JAL)の航空券予約システムであると個人的には考えます。他にも、宿泊予約サイト(OTA)システムも非常に素晴らしいマッチング機能を有しており、民間には優れた技術や機能を提供している企業が多数あるので、それを有効に真似れば良いのではないでしょうか?
日本の行政関係のITシステムの酷さは根深い問題であると危機感を持つと同時に、今後の改善を願い働きかけて参りたいと思います。
以上、素人意見で恐縮ですが、ワクチン接種が円滑に進むことを願い、終わります。
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