新型コロナ不況に突入するだろう現実を憂い考えたことの備忘録。感染症対策は世界の優等生であるにも関わらず、経済対策は実に残念な内容になりそうだ。
①前提条件(消費増税の官製不況に新型コロナがトドメを刺した)
- 消費増税(8%→10%)は大失敗だったと思う。個人的には消費税は嫌いな税金ではないが、軽減税率という愚策を利権にまみれて導入したので腐った税になってしまった。
- 課税強化するなら資産課税強化が望ましいと考えるが、そもそもじゃぶじゃぶに支出(無駄遣い)しているところを改善しなければ、穴の空いた財政にどれだけカネを注いでも破綻する。
- 消費税は中流階級の年間支出200万円とすると「8%=16万円」「10%=20万円」。増税による4万円/年の負担増は確かに痛いけれども、50万円/年の健康保険料負担の方が痛税感は遥かに大きい。世代間格差と負担割合をどうにかしないと維持できるはずがない。
②問題認識(経済的自殺行為とキャッシュフローの死)
- 2008年のサブプライムショック(リーマンショック)時は、金融危機で流動性が消えたことから実体経済が悪化したけれども、2020年新型コロナショックはダイレクトな実体経済悪化。サービス業を筆頭に酷い経済状態。
- 欧州の新型コロナのパンデミックとドイツ銀行の惨状を見ると、金融流動性危機がこれから起きるだろう。
- 多くの中小企業と個人事業主のキャッシュフローが絶望的に悪化しつつある。東日本大震災後の不況が全国各地で起きているに等しい。
- 耐久財は新型新型コロナ収束後に回復することが可能(需要の後ずれ(需要の先食いの逆ね)だけれども、サービス需要は蒸発した。卒業式や送別会等々、新型コロナによる2020年2月~3月に発生するはずだった消費(旅行・会食)は消えた。
③新型コロナ不況への支援(減税の前に効率的な直接給付を実施せよ)
- 中小企業と個人事業主はキャッシュフローの死を迎えている。ここへ融資するしか救いはないけれども、元々、ギリギリの運転資金でなんとかやり繰りしている状態が少なくなかったので、融資したら少なくない割合で焦げ付くだろう。
- 税金でどこまで融資保証するかは悩ましいところだろう。個人的にはあらゆる経済自粛の要請を止めるべきだと考える。供給側の経済を政府が殺しにかかっているのは経済的自殺行為だ。
- 一方で、サービス業を筆頭に非正社員(非正規雇用やパートタイム)の解雇や給与カットが激増している。広義に個人事業主(フリーランス)を非正社員と捉えれば、ここを救うべきだろう。
- 減税は大いに結構。現実は資産のない人の所得が消えキャッシュフローが死ぬことで、来月の家賃の支払いの危機に瀕する等の事態が発生しつつあるのだ。貧困シングルマザー世帯などはただでさえギリギリの生活であるのに、仕事/収入が減り、学校休校により支出も増。悲劇的な状況。
- 逆に言えば新型コロナに影響を受けていない業種の正社員(サラリーマン)のダメージは少ない(公務員やインフラ関係の社員等)。彼らは収入が変わらず支出を減らしている。つまり家計はまったく傷んでいない。
- 低所得世帯への救済として、また消費需要増に向けたカンフル剤として、現金給付が望ましいと考える。香港やマカオが実施したような直接現金給付である。
- 地域振興券/プレミアム商品券のような事務的コストが膨大にかかる給付は効果が限定的で無駄が多いので、利用期限付きの電子マネー給付をしたらどうか? 電子マネーなら運用が簡単であろう。例えばPAYPAYなら利用期限半年の電子マネー残高付与が運用可能である。
- 子育て世代に給付することには大いに賛成であるが、事務的コストが発生しないように児童手当の半年間倍増等の手段で実施すべき。既存の仕組みに上乗せするのが合理的。
- 給付は所得だけではなく、資産に応じて実施できると望ましい。高所得世帯には支援の必要性は低い。そして多額の資産を抱える富裕層にはまったく必要がない。日本には所得は低いけど富裕層(土地持ち等)という特殊な層が一定数いて、一律のバラマキは彼らを肥やすだけになってしまう。
- 日本には世界に誇る手厚いセーフティネットである生活保護というシステムがあるけれども、その手前の支援が手薄い。ゼロかイチかの支援は改善しなければギリギリのところに立っている人が生活保護に落ちてしまう。それは社会保障や社会の負担としては決して望ましくないのではないか。