★低炭素社会に向けた取組について★

 

令和4年(2022年)3月議会(第2回定例会)一般質問

 

知多市議会議員 川脇裕之

 

「低炭素社会に向けた取組について」

 

(1) 水素を利用した低炭素なくらし・基盤づくりについて

 ① 具体的な計画について

 ② 国、県及び民間企業との連携について

(2) 再生可能エネルギーの利用促進について

 ① 住宅用太陽光発電設備、蓄電池等の設置に対する補助について

 ② 公共施設への太陽光発電の導入について

(3) ゼロカーボンアクションCOOLCHOICEについて

 ① 行政の取組について

 ② 市民への推進を促す取組について

(4) 庁用車の脱ガソリン車化について

 ① 庁用車の台数及び年式について

 ② 年間給油量について

 ③ 庁用車をエコカーに更新する計画について

 


 

◆10番(川脇裕之) 

 皆様、こんにちは。先の通告に基づきまして、低炭素社会に向けた取組について質問をいたします。

 

 近年、気候変動が一因と考えられる異常気象が世界各地で発生しています。我が国においても、激甚な豪雨、台風災害や猛暑の発生頻度が増していることは、データに表れているだけではなく、皆様も実感されていることと存じます。

 

 低炭素社会という言葉は、日本では2007年度の環境白書・循環型社会白書において提唱されたことを契機によく使われ始め、直近では脱炭素社会という、さらに進んだ目標も掲げられております。

 

 そして、2022年現在は、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの削減に関する様々な取組を目指すことが国際的なコンセンサスとなってきました。具体的には、世界気象機関及び国連環境計画により設立された政府間組織である、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が「1.5度Cの地球球温暖化:気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な開発及び貧困撲滅への努力の文脈における、工業化以前の水準から1.5度Cの地球温暖化による影響及び関連する地球全体での温室効果ガス排出経路に関するIPCC特別報告書」を2018年10月に公表しました。この報告書の中で、全世界の人為的な正味二酸化炭素、CO2排出量は、2030年までに2010年の水準から約45パーセント減少させ、2050年頃に正味ゼロを達成する必要があるとされたことで、世界各国で2050年までのカーボンニュートラルを目標として掲げる動きが広がっております。(※1)

 

 日本では、2020年10月に、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言、2020年11月に、衆参両議院において気候非常事態宣言が決議されました。その後、2021年4月に、米国主催で開催された気候変動リーダーズサミットにおいて、日本は、2050年のカーボンニュートラル達成と併せて、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46パーセント削減することを目指すこと、さらに50パーセントの高みに向け、挑戦を続けることを表明しております。(※2)

 

 本市も、2021年4月公表の第3次知多市環境基本計画にて5つの基本目標を掲げ、「地球温暖化対策に向き合い、実践するまち」に向けて、風力発電や太陽光発電、あいち低炭素水素サプライチェーンの取組など再生可能エネルギーの導入を進めており、脱炭素社会の実現を視野にさらに裾野を広げ、低炭素型ライフスタイルへの転換などによる温室効果ガスの排出抑制と再生可能エネルギーの利用を推進するとともに、地域の実情や特性に応じた気候変動への適応を推進し、地球温暖化対策に向き合い、実践するまちを目指すとしております。そして、2021年8月には、2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにすることに挑戦する「ゼロカーボンシティちた宣言」を表明しました。

 

 様々な活動に伴い排出されるCO2の量を削減するためには、利用可能な最善の技術を最大限導入することを目指すほか、積極的な省エネ努力の実施や再生可能エネルギーの導入などを進めることが求められます。それでも、税金を主な原資とする地方公共団体においては、費用負担の増大を抑えつつ、経済合理性を考慮しながらサステーナブルな行政運営を実践していくことが重要であると考えます。そこで、低炭素社会に向けた取組について、現状と今後の計画を伺いたく質問いたします。

 

 1点目、水素を利用した低炭素なくらし・基盤づくりについて。

 本市は、愛知県が設置し、県、県内企業、自治体及び有識者で構成するあいち低炭素水素サプライチェーン推進会議に参画し、再生可能エネルギーを活用し、「つくる、はこぶ、つかう」水素のサプライチェーン全体の低炭素化に連携・協力しています。また、本市にて事業を営んでいる東邦ガスは、既存LNG基地である知多緑浜工場を拠点として、中部地区で水素サプライチェーンを構築するビジョンを掲げ、製造・供給と利用の両輪での取組を推進するとしております。(※3)

 

 そこで、ゼロカーボンシティを目指す施策の1つとしても挙げている、水素を利用した低炭素なくらし・基盤づくりについて伺います。1つ目、具体的な計画について、2つ目、国、県及び民間企業との連携について。

 

 次に、2点目、再生可能エネルギーの利用促進について。

 ゼロカーボンシティを目指す施策として、住宅用地球温暖化対策設備の設置に対する補助制度や、再生可能エネルギーの導入ポテンシャル調査が計画されております。補助制度は、愛知県住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金の要件に沿ったものになるかと存じますが、具体的な内容を確認いたしたく、1つ目、住宅用太陽光発電設備、蓄電池等の設置に関する補助について伺います。また、太陽光発電を導入する施設をどう選定するのかを確認いたしたく、2つ目、公共施設への太陽光発電の導入について伺います。

 

 次に、3つ目、ゼロカーボンアクションCOOL CHOICEについて。

 ゼロカーボンシティを目指す施策として、CO2などの温室効果ガスの排出量削減のために、脱炭素社会づくりに貢献する製品の買換えサービスの利用、ライフスタイルの選択など、日々の生活の中であらゆる賢い選択をしていこうという取組であるCOOL CHOICEの推進が計画されておりますが(※4)、1つ目、行政の取組について、2つ目、市民への推進を促す取組について伺います。

 

 次に、4点目、庁用車の脱ガソリン車化について。

 EUでは、欧州連合の執行機関である欧州委員会が2021年7月に、環境対策政策パッケージ(Fit for 55)を発表し、2035年以降は全ての新車がゼロエミッション車となり、ハイブリッド車を含めて内燃機関搭載車の生産を実質禁止するという厳しい指針を示しております。一方、日本では、2020年4月に施行された乗用車の2030年度燃費基準にて、2016年度実績値に対する燃費改善という現実的な新燃費基準を定めております。(※5)

 

 本市では、ゼロカーボンシティを目指す施策として、庁用車の脱ガソリン車化を実施する計画ですが、行政の様々な現場で運用されている庁用車は、エネルギー消費効率の改善を目指しつつ、ライフサイクルコストや、給油や充電を考慮した合理的な更新を図っていく視点が欠かせないと考えます。

 

 そこで、1つ目、庁用車の台数及び年式について、2つ目、年間給油量について、3つ目、庁用車をエコカーに更新する計画について伺います。以上をお伺いし、檀上からの質問といたします。答弁よろしくお願いいたします。

 

◎市長(宮島壽男) 

 10番 川脇裕之議員の御質問にお答えいたします。

 御質問の1番目、低炭素社会に向けた取組についてでございますが、昨年8月に、脱炭素社会の実現を目指し、本市は「ゼロカーボンシティちた」を宣言いたしました。この先も変わらず、緑豊かで美しい地域で暮らしていけるよう、目標達成に向けて市民、企業とスクラムを組んで脱炭素化に取り組んでまいります。御質問の1点目から3点目までにつきましては環境経済部長から、4点目につきましては総務部長から答弁させますので、よろしくお願いいたします。

 

◎環境経済部長(勝崎哲治) 

 御質問の1番目、低炭素社会に向けた取組についての1点目、水素を利用した低炭素なくらし・基盤づくりについての1つ目、具体的な計画についてでございますが、令和4年度に実施する再生可能エネルギー導入調査の結果を基に、脱炭素ロードマップを作成する中で、水素を利用した低炭素なくらし・基盤づくりについて検討してまいります。

 

 また、民間事業者の団体である中部圏水素利用協議会で検討されている中部圏における大規模水素サプライチェーン構築構想において、海外からの大規模水素受入基地の候補地の1つに本市がなっていることから、大規模水素サプライチェーンの構築に協力してまいります。

 

 次に、2つ目、国、県及び民間企業との連携についてでございますが、県が設置したあいち低炭素水素サプライチェーン推進会議に参画し、南部浄化センターの下水処理で発生したバイオガスを都市ガス原料として供給・販売を行うなど、県、民間企業と連携して、あいち低炭素水素サプライチェーンを推進しています。

 

 次に、2点目、再生可能エネルギーの利用促進についての1つ目、住宅用太陽光発電設備、蓄電池等の設置に対する補助についてでございますが、この補助制度は、導入する設備により4つの区分を定めており、一体的導入として、住宅用太陽光発電施設、家庭用エネルギー管理システム及び蓄電池を導入した場合、住宅用太陽光発電施設、家庭用エネルギー管理システム及び電気自動車等充給電設備を導入した場合、また、蓄電池のみを導入した場合、電気自動車等充給電設備のみを導入した場合でそれぞれ上限額を定めております。

 

 次に、2つ目、公共施設への太陽光発電の導入についてでございますが、令和4年度に実施する再生可能エネルギー導入調査により、市内全域の再生可能エネルギーの導入ポテンシャル調査を行います。その中で、公共施設についての調査も行い、調査結果を基に各施設の太陽光発電、風力発電など、その他再生エネルギー導入の検討を進めてまいります。

 次に、3点目、ゼロカーボンアクションCOOL CHOICEについての1つ目、行政の取組についてでございますが、知多市グリーン調達方針に基づく物品の購入、照明のLED化、庁用車の電動車化、食品ロスを減らす「知多市いちごニャンコ運動」などの取組を行っています。

 

 次に、2つ目、市民への推進を促す取組についてでございますが、令和4年度から脱炭素社会づくりに貢献する賢い選択を実践する市民、事業者の登録・認証制度を創設し、ゼロカーボンシティの実現に向けた機運を醸成してまいります。

 

◎総務部長(平岩資久) 

 御質問の4点目、庁用車の脱ガソリン車化についての1つ目、庁用車の台数及び年式についてでございますが、財政課が所管しています庁用車につきましては、平成17年式から令和3年式までの39台で、内訳としましては、ガソリン自動車31台、ディーゼル自動車3台、ハイブリッド自動車4台、燃料電池自動車1台です。

 

 次に、2つ目、年間給油量についてでございますが、令和元年度につきましては、ガソリン2万37リットル、軽油4,767リットル、水素162.03キログラム、2年度につきましては、ガソリン1万8,574リットル、軽油1,782リットル、水素102.52キログラムです。

 

 次に、3つ目、庁用車をエコカーに更新する計画についてでございますが、2030年までに庁用車の50パーセントを電気自動車、ハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車及び燃料電池自動車の電動車に切り替えていく予定ですので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 答弁ありがとうございます。ただ今お答えいただいた内容について再質問を2点いたします。2点目の1つ目、住宅用太陽光発電設備、蓄電池等の設置に関する補助について、補助対象設備ごとの具体的な補助金額を伺います。

 

◎環境経済部長(勝崎哲治) 

 御質問の件につきましては、住宅用太陽光発電施設、家庭用エネルギー管理システム及び蓄電池を一体的に導入した場合の上限は15万円、住宅用太陽光発電施設、家庭用エネルギー管理システム及び電気自動車等充給電設備を一体的に導入した場合の上限は10万円、蓄電池のみを導入した場合の上限は10万円、電気自動車等充給電設備のみを導入した場合の上限は5万円ですので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 次に、同じ項目について、太陽光発電設備や蓄電システム、電気自動車等充給電設備等の補助を実施するとのことですが、家庭部門における省エネルギーの取組として、住宅、建築物の壁や窓等の高性能化を進めることが空調をはじめとしたエネルギー消費機器の効率をより高めることにつながると、エネルギー白書2021でも示されております。(※6) そこで、既存住宅の高断熱化等の省エネリフォームを補助金等で支援する考えについて伺います。

 

◎環境経済部長(勝崎哲治) 

 御質問の件につきましては、県の住宅用地球温暖化対策設備導入促進費補助金交付要綱では、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロになることを目指した住宅となるよう、高断熱外皮または断熱窓改修工事を住宅用太陽光発電施設、家庭用エネルギー管理システムと一体的に導入する場合は、補助対象設備として規定されております。県内市町村でこの補助制度を利用している市町村は少数であり、本市の補助メニューに追加する考えはございませんので、よろしくお願いいたします。

 

◆10番(川脇裕之) 

 答弁ありがとうございました。それでは、答弁いただいた内容を踏まえ、要望を申し上げます。

 

 1点目の水素を利用した低炭素なくらし・基盤づくりについては、水素エネルギーの社会実装に当たって供給源の確保、輸送方法の確立、需要の開拓等、民間企業はその実現に向けて尽力しております。本市の臨海工業地帯の新たな産業として期待されておりますので、国や愛知県と連携しながら規制緩和、優遇税制等の支援措置を整えると同時に、企業への積極的な働きかけを実施していただきたく存じます。

 

 2点目の再生可能エネルギーの利用促進については、市町村独自の支援や補助対象設備の拡充を検討いただきたく存じます。例えば、愛知県みよし市では、住宅用太陽光発電システムの設置に対し、エコエネルギー促進事業補助金として市単独で補助金を加算しておりました。(※7)

 

  愛知県豊田市は、太陽光発電システム、HEMS、蓄電池の3つの機器をそろえた住宅について、補助金のほかに豊田市版環境減税「スマートハウス減税」を実施しております。(※8)

 

  また、断熱窓改修工事については、愛知県蒲郡市や愛知県江南市が住宅用地球温暖化対策設備導入費補助金として、太陽光、HEMS、断熱窓の一体的導入に補助金を支給しておりました。(※9)

 

 異常気象などを目の前にして、市民の環境意識は高まっているものの、エコロジー対策には費用負担が伴うため、設備投資をちゅうちょする方も少なくありません。市町村単独の減税や補助金加算、断熱窓改修を対象としている自治体は少数ではありますが、自治体がインセンティブを付与することにより、太陽光発電システム等の再生可能エネルギー導入や断熱性や気密性を高めるエコ住宅、省エネ住宅へのリフォームが進む一助になると考えます。引き続き、国や県の政策に迅速にキャッチアップするとともに、自治体独自の支援策を検討いただきたく存じます。

 

 3点目のゼロカーボンアクションCOOL CHOICEについては、知多市グリーン調達方針に基づく取組を実施いただいておりますが、調達費用等を精査しながら、環境配慮型商品の選定を推進いただきたく存じます。

 

 4点目の庁用車の脱ガソリン車化については、2030年までに50パーセントを更新する予定とのことですが、その中にハイブリッド自動車が含まれていることが確認できて安心いたしました。

 

 ライフサイクルアセスメントの評価では、ハイブリッド自動車には電気自動車に劣らない環境性能の高さやライフサイクルコストの優位性を示す製品も登場しております。本市では、従来より大切に庁用車を運用しておりますので、庁用車を電気自動車や燃料自動車に限定するのではなく、新燃費基準を目標に利便性や経済合理性を考慮した更新を進めていただきたく存じます。以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

 

●参考資料

(※1) https://www.unic.or.jp/news_press/info/30738/

(※2) https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/topics/ketugi201119.html

(※3) https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO049151/20211221-OYTAT50037/

https://www.meti.go.jp/shingikai/energy_environment/methanation_suishin/pdf/004_03_00.pdf

(※4) https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/about/

(※5) https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/07/d870a9cd8282f522.html https://www.meti.go.jp/press/2019/03/20200331013/20200331013.html

(※6) https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2021/html/3-2-1.html

(※7) https://www.city.aichi-miyoshi.lg.jp/kankyo/hojyokin/ecoenergyhojyo.html

(※8) https://www.city.toyota.aichi.jp/kurashi/zeikin/kotei/1002865.html

(※9) https://www.city.gamagori.lg.jp/unit/kankyo/ondanhojo.html

https://www.city.konan.lg.jp/kurashi/gomi/1003144/1003297/1003210.html